【看護長インタビュー】老健で働く看護師 地域と医療をつなぐ看護の専門性

介護老人保健施設こまちは、地域に根ざした医療と生活支援を提供する施設です。今回は、看護師の皆さんが活躍する「入所エリア」に焦点を当て、その役割や仕事の魅力について、看護長にお話を伺いました。入所エリアでの看護の仕事に興味をお持ちの方、ぜひご一読ください。

Q. こまち、特にこの入所エリアが地域の中でどのような役割を担っていると感じていますか?

看護長: こまちの最も基本的な役割は、ご自宅での生活に向けたリハビリ支援です。ご利用者さんがどのような生活を送るかを描きながら、生活全体でリハビリを支援しています。特に、厚木佐藤病院という母体病院が目の前にあり、医療面と生活面の両方を共に考えられる点が強みです。ご利用者さんが安心して、「小さな町(こまち)」として生活していける場、病院から退院されて、生活に近い場での「練習」ができる場、それがこまちの入所エリアの役割だと感じています。

Q. 「小さな町」というコンセプトが素晴らしいですね。入所される方はどのような方が多いのでしょうか?

看護長: 昨年のデータでは、厚木佐藤病院からのご入所が最も多く、次に地域からのご紹介が続きます。ご高齢化に伴い介護度も上がってきていますが、医療依存度は比較的低いのが特徴です。 医療的な特色として、月に一度、精神科が専門の理事長による診察が継続して受けられる点があります。認知症も含め身体の病気をきっかけに心の病気を発症し、入院されていた方も多いため、そのような方も継続して診ていただけるのは、こまちの大きな特色です。また、歯科の先生と歯科衛生士がほぼ毎週来られ、初回無料で検診を受けられるのも、他の老健にはあまりない特徴です。お口の健康は栄養や体力維持に不可欠であり、虫歯治療や義歯作成、急な痛みへの訪問診療も可能です。胃ろうの方も現在5名ほどいらっしゃいます。

Q. 病院との連携や専門的な医療サポートが手厚いのですね。それでは、入所エリアで働く看護師の具体的な役割や、どのような視点が求められるとお考えですか?

看護長: 看護師は、多職種連携の中で非常に重要な役割を担います。一番の役割は、やはり健康管理です。バイタルサインだけでなく、表情や話し方、顔色など、普段と違う小さな変化に気づくことが最も大切です。体の変化だけでなく、心の変化にも目を配ります。 また、ご利用者様がご自宅での生活を目指す上で、「どんな生活をしていたか」「どんな生活をしたいか」という視点を持つことが大切です。例えば、「牛乳を飲みたい」というご要望があれば、嚥下の評価を行いながら、可能な範囲で安全に飲めるよう練習の機会を作るなど、ご利用者様の望む暮らしをサポートするための「生活全体のリハビリ」として関わります。 日々の業務は、バイタル測定、服薬管理、軟膏塗布、バルーン管理、胃ろうの管理など多岐にわたります。急な体調変化の際には、ご家族への連絡や医師への報告・相談も重要な役割です。ご家族からの連絡希望も確認し、個別に対応しています。

Q. 日常の健康管理から生活支援、ご家族との連携まで、幅広い役割があるのですね。多職種との連携はどのように行われていますか?

看護長: ご入所後1週間以内には、ケアマネージャーが主体となって、ご利用者様の状況を共有する担当者会議があります。日々の状況は、毎日のカンファレンスや朝の申し送りで伝え合います。申し送りには、看護師とリハビリスタッフ、ケアワーカー、相談員、ケアマネージャーが参加します。記録は電子システムに加え、ノートにも残し、職種それぞれの専門的な視点から情報を集約し、より良いケアにつなげています

Q. 最後に、こまちの看護師として、どのような方に加わっていただきたいですか?

看護長: ご利用者さんと会話したり関わったりすることが好きな方に来ていただきたいです。それぞれの経験を生かし、得意分野を発揮しながら、意見交換し、多様な方と向き合える方は大歓迎です。当法人には厚木佐藤病院もありますので、病院での研修後にこまちに来ることも可能です。2ヶ月程度はワンフロアで業務を覚え、ご利用者さんのお名前や顔を覚えていく環境ですので、安心して来てください。私たち看護師は、決して一人で仕事をしているわけではありません。多職種が連携し、チームとしてご利用者さんを支えることができる職場です。

【インタビュー後記】
今回、介護老人保健施設こまちの看護長にお話を伺い、入所エリアでの看護師の役割が多岐にわたることを改めて認識しました。特に印象的だったのは、ご利用者様が「小さな町(こまち)」として安心して生活できる場を提供し、在宅復帰に向けた「生活全体のリハビリ」を支援しているという点です。
厚木佐藤病院との連携や、精神科医・歯科医による手厚い医療サポートは、他の施設にはないこまちの大きな強みだと感じました。日々の健康管理はもちろんのこと、ご利用者様の小さな変化に気づき、その方の望む暮らしをサポートする看護師の専門性と温かさが伝わってきました。

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