厚木佐藤病院 栄養管理課では、患者さんの健康と「生きる力」を支える「食」を提供するため、日々、料理と真摯に向き合っています。今回は、栄養管理課の現場を牽引する調理主任に、その仕事の魅力や、栄養管理課のこだわり、そして求める人材についてお話を伺いました。
Q. 主任になられて、ご自身の成長を感じる点はありますか?
主任: はい、指導する立場になり、考えて動けるようになったと感じています。私個人としては当院で勤務する前も、他の病院や大手委託会社で大量調理の経験を積んでおり、当院は3件目の職場です。
Q. なぜ「食」の道、特に病院や高齢者分野を選ばれたのですか?
主任: 小学生の頃から栄養士になりたいと思っていました。母と祖父の入退院経験を通じて病院食を身近に見ていたこと、そして「食」が生きていく上で不可欠で、体に直接影響するものだからです。高校時代は農業高校の食品科学科で学び、飲食系のアルバイトも経験しました。
Q. 病院食のイメージを払拭する「食」へのこだわりを教えてください。
主任: 「病院食は美味しくない」というイメージを変えたいと常に思っています。当院の食事は、健康を支える「生きるための食事」であり、毎日食べても飽きない味を追求しています。
その最大の強みは「直営」であることです。外部委託ではなく、病院が直接運営しているため、昔ながらの手作り献立や調理法を継承し、既製品だけでなく生の食材を多く使用できます。手作りは出汁や味付け、切り方で変化をつけやすく、日々の食事において大きな差となります。
大量調理では、回転釜や温度・湿度・時間を管理できるスチームコンベクションなどの様々な機器を駆使し、効率と品質を両立させています。特にスチームコンベクションと急速冷蔵「ブラストチラー」を組み合わせることで、水分を逃さず柔らかく旨味を閉じ込めた料理を提供できます。
「食形態」への対応も重要です。例えば「ソフト食」では、圧力鍋で煮込んだ野菜の汁をベースに使うなど、味が薄くならない工夫で美味しさを追求しています。香りも食欲増進に大きく影響するため、五感を刺激する食事を心がけています。
当院の献立の中で私のおすすめは、味がしっかりしていて若い方から高齢者まで人気の「揚げ鶏のケチャップ煮」です。また、バターや小麦粉、チーズを使用して一から手作りするベシャメルソースがベースの「鮭のチーズソース」もこだわりの逸品です。時代と共にコストの課題もありますが、品質と安全性を維持するため、常に最善の方法を模索しています。
Q. 栄養課ではどのような方が活躍されていますか?
主任: 社員食堂や飲食店、スーパーなど、様々な業界出身者が活躍しています。それぞれの経験や知識を共有し、新しい調理法や下処理の方法などを学ぶことで、部署全体のスキルアップに繋がっています。直営ならではの、スタッフ間の活発な会話も特徴です。
Q. どのような人材を求めていますか?
主任: 当院の栄養管理課では、調理だけでなく洗浄や配膳・運搬など、幅広い業務を全員で行います。そのため、「調理しかしない」という方ではなく、様々な業務に前向きに取り組める方を求めています。
Q. 今後の展望を教えてください。
主任: メニューのバリエーションを増やし、「ソフト食」の見直しをさらに進めます。また、スチームコンベクション活用をマニュアル化し、誰でも美味しい料理を作れるよう、技術継承と品質安定化を図っていきたいです。
